こけら葺 (Kokerabuki)

杮葺(こけらぶき)とは、屋根葺手法の一つで、木材の薄板を用いて施工する。
板葺(いたぶき)の代名詞にも使われる。

日本古来から伝わる伝統的手法で、多くの文化財の屋根で見ることができる。

広義では板葺の一種であり、板葺は板の厚さにより以下の種類がある。

杮葺(こけらぶき)
最も薄い板(杮板)を用いる。
板厚は2~3ミリメートル。

木賊葺(とくさぶき)
杮板よりも厚い板(木賊板)を用いる。
板厚は4~7ミリメートル。

栩葺(とちぶき)
最も厚い板(栩板)を用いる。
板厚は1~3センチメートル。

法隆寺金堂の裳階だけに見られる厚い木片を互い違いに重ねた板屋根が用いられている。
この屋根は、大和葺(やまとぶき)と呼ばれる。

尚、「杮(こけら)」の字と「柿(かき)」の字は非常に似ているが別字である。
「杮(こけら)」は「こけらおとし」の「こけら」同様、木片・木屑の意味。
ただし、両者は混用された(記事「こけら落し」に詳しい)。

材料
ヒノキ、サワラ (植物)、スギ、エノキなど、筋目がよく通って削ぎやすく、水に強い材木が用いられる。

クヌギ(栩)やトクサ(木賊)が材料ではない。

板は年輪に沿って割られたものが用いられる。

歴史
板葺の歴史は茅葺に次いで古い。

法隆寺五重塔の屋根にも使用されていることから、古墳時代から屋根材として使用されはじめたと思われる。

以後、道具の進化もあり、より薄い板を用いる手法が開発され、最も薄い板を用いる杮葺は平安時代初期には使用されはじめる。

江戸時代までは栩葺・木賊葺も社寺建築に使用されていた。
しかし、板が厚く直線に近い屋根しか葺くことができない。
このため、薄板で自在性が高い杮葺へと次第に移っていった。

三仏寺本堂のように、建立当時は栩葺や木賊葺であったが後世の修復で杮葺へ変わった建築物も数多い。

よって、現存する板葺の文化財は多くが杮葺で、栩葺・木賊葺は少なく屋根職人も殆どいない。

葺きかた
板葺に共通で、幅9~10センチメートル、長さ24~30センチメートルの板が用いられる。
これらの板をずらしながら下から平行に重ねて並べ、竹釘で止める。
木材を横に渡し、石で固定するだけの場合もある。

板の間に少しの隙間が生じ、これが軒裏の通気を促して木材の耐久性を向上させる。

杮葺きは通常40年程度の耐久性があるといわれている。

しかし近年は板製造作業の機械化により木の繊維がせん断されてしまう。
したがって、手作業の板よりも耐用年数が劣る。

そのため、下地の防水処理や、材木自体の防腐処理を施している。

代表的建築物

杮葺
室生寺金堂
神魂神社本殿
鹿苑寺金閣
慈照寺銀閣
桂離宮古書院

木賊葺
修学院離宮客殿
三仏寺本堂 (建立当初は木賊葺、現在は杮葺)
北野天満宮絵馬所 (建立当初は木賊葺、現在は瓦葺)

栩葺
蓮華峰寺弘法堂
善光寺三門 (檜皮葺に葺き替えられてしまっていたものを建立当初の栩葺に復旧)
光明寺 (綾部市)二王門
白水阿弥陀堂

[English Translation]