東海自然歩道 (Tokai Nature Trail)

東海自然歩道(とうかいしぜんほどう)は、東京都八王子市の「明治の森高尾国定公園」から大阪府箕面市の「明治の森箕面国定公園」までの11都府県約90市町村にまたがる長さ1,697kmの長距離自然歩道。

歴史

1969年(昭和44年)、厚生省(後に担当部局は環境省に継承)が長距離自然歩道をつくることを提案し、1970年(昭和45年)から関係自治体の協力のもとに整備が始められ、1974年(昭和49年)に完成した。

経緯

東海自然歩道の構想は昭和44年の年頭において厚生省の施策として発表された。

各地方のインフラ整備や都市の過密化が急激に進められ、四大公害病等の高度経済成長の影の面が顕在化してきていた当時、憩いの場としての自然を見直そうというこの構想は、国民から絶大な支持を得、以後、これを習って数々の自然歩道が整備された。

東海自然歩道の、企画・実現には当時の厚生省国立公園部(後に環境庁国立公園局)に在籍していた大井道夫の尽力によるところが大きい。

彼は、厚生省時代から環境庁設立と共に入庁した人物である。
アメリカ合衆国のアパラチア山脈などで建設されていた自然歩道をヒントに、日本初の自然歩道である東海自然歩道を企画、実現した。

彼の、二つの国定公園を歩道で結ぶというこの企画を契機として、道中の高原や湿原、峡谷等が次々と国定公園に指定された。

観光地でも山奥でもない、しかし自然の生態系が存在している場所を公園に指定したこの試みは、それまで観光地としての意味あいが強かった国定公園に保護林ネットワークとしての役割を持たせ、後の国定公園のあり方について示唆を与える事となった。

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