装飾古墳 (Decorated Tombs (decorated tumulus by pictures, patterns and engravings))

装飾古墳(そうしょくこふん)とは、内部の壁や石棺に絵画、文様、彫刻などの装飾のある古墳の総称で、墳丘を持たない横穴墓も含まれる。
大半が九州地方、特に熊本県に集中している。
熊本県山鹿市のチブサン古墳などが有名である。

概要

装飾古墳の分布については、全国に600ぐらいあり、その半数以上に当たる340基が九州地方に、100基が関東地方に、50基が山陰地方に、40基が近畿地方に、約40基が東北地方にあり、その他は7県に点在している。

古墳時代初期から装飾が施されていた。
初期には刳抜式石棺(くりぬきしきせっかん)の側面や蓋の上に、中期には組み合わせ式長持ち石棺の蓋の上面、家形石棺の蓋および棺の内側や外側、箱形石棺にも、そして、5世紀前半頃には横穴式石室にも彫刻や彩色の方法で装飾が施され、さらには石室内全体にまで及んだ。

装飾方法は、浮き彫り、線刻、彩色の3手法があり、浮き彫りや線刻に彩色するなどの併用手法を用いている。
最初期の装飾手法は、彫刻が主流であり、線刻は一部で用いられ、浮き彫りが多く、彩色は赤色顔料だけである。
5世紀ごろになると彫刻されたものに赤色以外の色が使用されるようになる。
6世紀になると浮き彫りを基調とする彫刻がなくなり、基本的には彩色だけで文様が描かれるようになり、石室の壁全体に図柄が描かれるようになる。
装飾古墳に描かれた文様には幾何学的・抽象的な直弧文(ちょっこもん)・蕨手文(わらびてもん)・鍵手(かぎのてもん)文・円文・同心円文・連続三角文・菱形文・双脚輪状文(そうきゃくりんじょうもん)・区画文などがあるが、何を表しているのか分からない文である。
次に、具象的な図柄では盾・靱(ゆぎ)・甲冑・刀・船などの武器・武具・その他の器物や人物・馬・鳥・蟾蜍(ひきがえる)・朱雀などである。

築造時期

4世紀〜7世紀頃に造られ、古墳時代の中では後期に位置する。

主な装飾古墳一覧

全国で約800基余りがあるとされるが、主なものだけを挙げる。

関東

太子唐櫃古墳:茨城県新治郡出島村大字安食字田子内
- 前方後円墳

関西

高松塚古墳:奈良県高市郡明日香村
- 円墳

九州

石人山古墳:福岡県八女郡広川町 (福岡県)大字一条人形原
- 前方後円墳
剣塚古墳:福岡県福岡市博多区竹下3丁目
- 前方後円墳
珍敷塚古墳:福岡県浮羽郡吉井町 (福岡県)(現うきは市)大字富永字西屋形
- 円墳
日ノ岡古墳:福岡県浮羽郡吉井町大字若宮若宮八幡宮境内
- 前方後円墳
王塚古墳:福岡県嘉穂郡桂川町大字寿命坂元
- 前方後円墳
五郎山古墳:福岡県筑紫野市大字原田字五郎山
- 円墳
双六古墳:長崎県壱岐郡勝本町(現壱岐市)立石字東触
- 前方後円墳
鬼ノ岩屋古墳:大分県別府市北石垣字塚原
- 円墳
チブサン古墳:熊本県山鹿市大字城字西福寺
- 前方後円墳
石貫ナギノ横穴群:熊本県玉名市大字石貫字ナギノ
- 横穴

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