カレー (Curry)

カレー(英:Curry カリー)は、複数の香辛料を使って野菜や肉などを味付けした料理のひとつ。
もともとインドおよび周辺アジア諸国で作られていた料理だが、20世紀以降は国際的に人気のある料理のひとつとなっている。
日本では、明治時代にイギリス経由で伝わり独自の進化をとげたカレーライスが国民食と呼ばれるほどの人気を獲得している。
日本でカレーといえばカレーライスを指す場合が多い。

カレー粉

カレー粉は、ミックス香辛料の一種。
インド発祥ではなく、18世紀後半のイギリスで発明され、同じころクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社によってはじめて商品化されたと考えられている。

現在は複数のメーカーから各種のカレー粉が発売されているが、基本的にはC&B社のカレー粉に倣ったものである。
味はおもにクミン、コリアンダー、辛味はおもに唐辛子、コショウ、ニンニク、ショウガ、色はおもにターメリック、サフラン、パプリカ、香りはおもにクローブ、シナモン、カルダモン、ナツメグ、オールスパイス、キャラウェイ、フェンネルなどによるものである。
これらのスパイスを混合して数週間ほど熟成すると、カレー粉独特の風味が生れる。

カレー粉の原型はインドのミックススパイス、マサラであるといわれている。
しかしマサラはインドにおいて、日本の醤油や味噌のようにあらゆる料理において調味料として使われるものであり、「カレー料理」のために存在する訳ではない。

現在はインドのスーパーマーケットでも「カレー粉」が並んでおり、その消費量は世界第一位(ちなみに世界第二位は日本)である。
インスタント食品のような感覚で使われており、調理のたびに各種スパイスをいちいち挽くという方法がいまでも主流である。

インドのカレー

インド料理はスパイスを多用することが特徴であり、外国人の目から見るとその多くが「カレー」のように見える。
しかしインド料理にはそれぞれ固有の名称があり、○○カレーといった呼び方はしない。
ただし、旧宗主国の英国人がそう呼んで世界に伝わったことから、インドの観光客向けのレストランではメニューに「カレー」を使用していることが多い。

インド固有の言語には「カレー」という言葉はない。
ただしタミル語(そしてカンナダ語)に野菜・肉・食事・おかずなどを意味する「カリ」という言葉があり、それが英語の「curry(カレー)」になったと言われている。

インドにとって「カレー」という言葉は外来語である。
正確な理解はインド料理の項を参照のこと。

主食は地域によって異なり、インド北部では小麦粉を使ったナン・チャパティ・ドーサなどのパン類、南部では米である。
一口に米と言っても、地域によって米の種類や炊き方が異なる。

イギリスのカレー

インドの「カレー」は英国に紹介されて評判となったが、ふつうのイギリス人には多様なスパイスを使いこなすことは至難の業だった。
そこでC&B社は、あらかじめスパイスを調合した「カレー粉」を考案、「C&Bカレーパウダー」として売り出した。
これによりカレーは英国の家庭料理として着実に広まり、1810年にはオックスフォード大辞典に「カレーパウダー」の語が登場している。

インドの「カレー」は野菜や豆など様々な食材を用いるのに対して、イギリスのカレーはまず牛肉を使ったものが知られている。
これはかつてイギリスの中流以上の家庭で、日曜日に大きなローストビーフの塊を焼くという習慣があったためである。
その肉を一週間かけて食べるのであるが、それに掛けるソースのひとつとしてカレーが存在した。
ただし、日曜日にローストビーフを焼く習慣が失われた現在は、家庭料理としてのカレーはほぼ廃れており、たまに食堂の日替わりメニューに登場する程度になっている。

イギリスには本格的なインド料理店がたくさんあり、こうした状況が、家庭料理としてのカレーが廃れた原因のひとつにもなっている。

日本のカレー

カレーライスのほか、以下のような日本独特のカレー料理(食品)がある。

カレー南蛮(カレーそば)

うどんカレーうどん、カレーきしめん

カレー丼

カレーラーメン

インディアンスパゲッティ

ドライカレー

カレーオムレツ

麻婆カレー

焼きカレー

カレーコロッケ

カレーパン

中華まん

カレー雑煮

このほかにもカレー味のスナック菓子が各社から発売されている。
またご当地カレーとして、北海道札幌市のスープカレー、富良野市のオムライス・ホワイトカレー、石川県金沢市の金沢カレー、神奈川県横須賀市の横須賀海軍カレーなどが知られる。

蕎麦屋では、カレー粉をカツオだしで溶き、片栗粉でとろみを付けた和風カレーが定番のメニューである。

東南アジアのカレー

インド以外に、東南アジア周辺の類似の料理も、日本では「タイカレー」、「ジャワカレー」などと「カレー」の名で呼ばれることがある。
しかし香辛料の使い方などに大きな違いがあり、いわゆる一般的な「カレー粉」で作られる味とは異なっている。

たとえばタイ王国では唐辛子とココナッツミルクを基本としたものが主流で、具もエビや鶏肉などを使い、使用するスパイス(ハーブ)・材料によってレッドカレー、グリーンカレー、イエローカレーに大別される。
ココナッツミルクの使用でまったりとした味の物が多い。
タイの伝統食文化のケーン(ゲーン)と呼ばれる様々な汁物の中で、香辛料を利かせた料理を外国人が便宜上からタイカレー(Thai curry)と呼んでいる。
本来はインド周辺地域のカレー料理と直接の関連性はない。

逆にタイにおいて「カレー」と呼ばれているのは、日本でおなじみの食材による「カレーライス」の事である。
日本から入ってきた食品であり、既に現地では一般的な食べ物になっている。

また、カレーと呼ばれていなくても日本人が食べればカレーだと思う料理もある。
例えばマカオの「葡國鶏」(広東語 ポウコクカイ、ポルトガルチキン)は、生クリーム味が加わり、オーブンで表面を焼いたチキンカレーとも言え、しかも米飯またはパンと共に出される。

その他の地域

ヨーロッパや北アメリカ、ラテンアメリカ、アフリカ、オセアニアなど、あらゆる地域でカレー文化が根付いていることが確認されている。
それらは主に各地域の伝統的な料理に香辛料やエスニック要素を加えることでカレーらしくなったものだが、多くのレストランや料理人らが伝播と啓蒙につとめた功績も皆無とはいえない。
また、各国の料理をカレー風にアレンジするレシピもインターネット上に多く見られるようになった。

東アジア地方

カレーライス韓国

ヨーロッパ地方

イタリア風カレー、カレー・ヴルスト(ドイツ)

中東地方

イラン風カレー、サウジアラビア風カレー

アフリカ地方

ワット (エチオピア料理)(エチオピア)、ソース・アラシッド(コートジボワール)

オセアニア地方

ニューカレドニア風カレー

[English Translation]