シソ (Shiso (Perilla))

シソ(紫蘇、学名:Perilla frutescens var. crispa)は、シソ科シソ属の植物。
なお、シソには品種が多い。
それらの総称「広義のシソ」として用いる場合と、基本品種である P. frutescens var. crispa f. crispa (チリメンジソ)や代表的な品種であるアカジソ P. frutescens var. crispa f. purpurea を「狭義のシソ」として用いる場合がある。
本稿において特に明記しない限り「紫蘇」または「シソ」とは、「広義のシソ」の意味である。

和名の由来

次のような逸話が伝えられている。
後漢末、洛陽の若者が蟹の食べすぎで食中毒を起こした。
若者は死にかけていたが、名医・華佗が薬草を煎じ、紫の薬を作った。
薬を用いたところ、若者はたちまち健康を取り戻した。
「紫」の「蘇る」薬だというので、この薬草を「紫蘇」というようになった。

特徴

ヒマラヤ山脈やミャンマー、中国などが原産。
日本には中国から伝わったとされている。
一年草で、高さ1m程になる。
葉は対生につき、広卵形で先端は尖り、緑色または赤みを帯びる。
品種によっては葉が縮れる場合もある。
花序は総状花序で、白から紫色の花を多数つける。

品種・栽培品種

シソには多数の品種や栽培品種がある。

チリメンジソ f. crispa (Thunb.) Makino - 縮緬紫蘇。
狭義のシソ。
基本品種。
葉は両面とも赤色でやや縮れる。

マダラジソ f. rosea (G.Nicholson) Kudô - 斑紫蘇。
葉の表面は緑色、裏面は赤色で縮れない。

アカジソ f. purpurea (Makino) Makino - 赤紫蘇。
単にシソとも呼ばれることがある。
葉の両面とも赤色で縮れない。

アオジソ f. viridis (Makino) Makino - 青紫蘇。
葉の両面とも緑色で縮れない。

カタメンジソ Discolor(栽培品種) - 片面紫蘇。
葉の表面は緑色、裏面は赤色。

チリメンアオジソ Viridi-crispa(栽培品種) - 縮緬青紫蘇。
葉の両面とも緑色で縮れる。

食材

通常、食用にするのはアオジソとアカジソである。

青紫蘇葉や花を香味野菜として刺身のつまや天ぷらなどにする。
青紫蘇の葉は野菜としては「大葉(おおば)」とも呼ばれる。

赤紫蘇梅干しなどの色づけに使う。
また葉を乾燥させたものは香辛料として(特に京都で)七味唐辛子に配合されることもあるほか、ふりかけなどにも用いられる。
また、熟さない実を付けた「穂じそ」花が開き掛けの「花穂じそ」も刺身のつまに用いることがある。
箸または手指で茎からこそげ落として使用する。

実萼ごと食用とし、茶漬けなどの風味付けに用いる。
ぷちぷちした食感と独特の風味がある。

漢方

漢方薬では、主に赤紫蘇の葉を「蘇葉」(そよう)または「紫蘇葉」(しそよう)といい、理気薬(気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある)として神秘湯、半夏厚朴湯、香蘇散などに配合される。
(日本薬局方では、チリメンジソ(狭義のシソ、学名:P. frutescens var. crispa f. crispa)の葉及び枝先を「蘇葉」としている)。

また熟した果実を「蘇子」(そし)といい、咳嗽、気管支喘息、便秘などの治療に用いる。

シソの葉はロズマリン酸という成分を含み、アレルギー疾患に有用として健康食品としても利用されている。

アメリカ産しそ

アメリカ合衆国に自生しているシソは日本とは異なり、香りも異なる。
日本のシソの香りはペリルアルデヒドという化学成分であるのに対し、アメリカのシソではペリラケトンが主成分である。
外見の見分けはつかない。
ペリラケトンは肺気腫を起こす毒性があり、家畜が被害を受けることからアメリカでは毒草扱いである。

シソ油

種子からはシソ油が取れる。
シソ油には抗酸化作用のあるα-リノレン酸を多く含むため最近では健康食品としても注目されている。
リノレン酸は酸化し易いため、同食用油の開封後は早めに消費する事が勧められる。
また2004年には国民生活センターがスチロール製容器を使用するカップ麺に入れた場合、容器が溶ける事があるとして注意を呼びかけている。

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