ユズ (Yuzu Citron)

ユズ(柚子、学名:Citrus junos、シノニムC. ichangensis x C. reticulata var. austera)は、ミカン科の常緑樹。
柑橘類の1つ。

概要

ホンユズとも呼ばれ、果実は比較的大きく、果皮の表面はでこぼこしている。
果実が小型で早熟性のハナユズ(ハナユ、一才ユズ、Citrus hanayu)とは別種である。
日本では両方をユズと言い、混同している場合が多い。
タネの多いものが多い。

消費・生産ともに日本が最大である。
柑橘類の中では耐寒性が強く、極東でも自生出来る数少ない種である。
酸味は強く香りもある。
日本では東北以南で広く栽培されている常緑小高木である。
花言葉は健康美と言われる。

なお、収穫時にその実をすべて収穫しないカキノキの「木守柿」の風習と同様に、ユズにも「木守柚」という風習がある地方もある。

成長が遅いことでも知られ、「ユズの大馬鹿16年」などと呼ばれることがある。
このため、栽培に当たっては種から育てる実生栽培では結実まで10数年掛かってしまうため、結実までの期間を短縮する為、カラタチに接木することにより数年で収穫可能にすることが多い。

歴史

本ユズは、中華人民共和国中央および西域、揚子江上流の原産であると言われる。
日本への伝播については直接ないし朝鮮半島を経由してきたと言われるが、どちらであるかは定かではない。
日本の歴史書に飛鳥時代・奈良時代に栽培していたという記載があるのみである。

現在の日本で栽培されるユズには主に3系統あり、本ユズとして「木頭系」・早期結実品種として「山根系」・無核(種無し)ユズとして「多田錦」がある。

「多田錦」は本ユズと比較して果実がやや小さく、香りが僅かに劣るとされているがトゲが少なくて種もほとんどない。
果汁が多いので本ユズよりも多田錦の方が栽培しやすい面がある(長いトゲは強風で果実を傷つけ商品価値を下げてしまう)。

花ユズは日本原産とも言われるが、詳しいことは判らない。

柚子の語源は中国語の「柚(yòu)」である。
しかしながら、現代中国語ではこの言葉は「ブンタン」を指してしまう。
現在は「香橙(xiāngchéng)」が柚子を指す言葉であり、なぜその語彙が変化したのかは不明である。
日本で「柚」が「柚子」になったのは、古来の食酢としての利用によるところが大きいといわれる。
「柚酢」が「柚子」になったと言われているが、確かなことは不明である。
朝鮮語でも漢字表記をする場合は「柚子(yuja)」と書くが、その語源については正確な記録が一切無いため全くの不明である。

農産

日本国内産地としては、高知県馬路村や北川村など高知県東部地方の山間部が有名である。
他、山梨県増穂町や栃木県茂木町、最も古い産地の埼玉県毛呂山町等、全国各地に産地がある。
海外では、大韓民国最南部の済州島や全羅南道高興郡など、中華人民共和国の一部地域で栽培されている。

利用方法

ユズの果汁は日本料理等において調味料として、香味・酸味を加えるために用いられる。
また、果肉部分だけでなく皮も七味唐辛子に加えられるなど、香辛料・薬味として使用される。
いずれも、青い状態・熟れた状態の両方とも用いられる。
九州地方では、柚子胡椒と呼ばれる調味料としても使用される。
これは柚子の皮に、皮が青い時は青唐辛子を、黄色く熟している時は赤唐辛子を、そして塩を混ぜて作るもので、緑色または赤色をしている。

熟したユズでも酸味が非常に強いため、普通は直接食用とすることはない。
薬味としてではなくユズ自体を味わう調理例としては、果皮ごと薄く輪切りにして砂糖や蜂蜜に漬け込む方法などがある。
韓国ではマーマレード状に煮込んだものを湯または水で薄めた「柚子茶」(ユジャチャ)が韓国伝統茶の一つになっている。

絞ったユズの果汁を砂糖と無発泡水で割ったレモネードのような飲み物もある。
果汁はチューハイ等にも用いられ、ユズから作られたワインもある。

独特の爽やかな香りのため、様々な香水に使用されている。
最近、日本の植物から精油を精製する国内メーカーが増えており、果皮を圧搾することにより精油を採油している。
その他、多彩な方法で利用されている。

[English Translation]