小袖の手 (Kosode no te)

小袖の手(こそでのて)は、鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にある日本の妖怪。
付喪神の一種。

小袖(袖口の狭い高級な和服)の袖から女性の幽霊の手が伸びたものが小袖の手である。
本来、死んだ人間の小袖は形見の品となったり、寺に納められて供養されるはずが、高級な小袖が売却され、成仏できない霊がその小袖に取り憑いたものが小袖の手とされる。

民俗学者・藤沢衛彦の著書『妖怪画談全集 日本篇 上』には、以下のような話がある。
慶長年間、京都に住む松屋七左衛門という男が、娘のために古着屋から着物を買った。
間もなく、娘は病気に侵されてしまった。
また七左衛門も家で女の幽霊を目にし、その霊は娘に買ったものと同じ着物を着ていた。
七左衛門はその着物を気味悪く思い、売りに出すことにして衣桁(いこう)に掛けておいた。
すると袖口から白い手が伸びてきた。
着物をよく調べたところ、布が袈裟懸けに切られ、うまく縫い合わせてごまかした跡があった。
これは武家に仕えていて手討ちに遭った女性の着物だろうと思い、菩提寺に着物を納めて弔ったところ、娘の病気も回復に至ったという。

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