帯留 (Obidome)

帯留(おびどめ)とは、女性が帯締めに通す飾り物の装身具。
京都の花柳界では「ぽっちり」と呼ぶ。

素材は、珊瑚、翡翠、象牙、鼈甲(べっこう)、貝、水晶、金、銀、金属に七宝を施したもの、陶器、トンボ玉などで、工芸品が多用される。
帯留は、細い平打ち用のものが多いが、幅の広い平打ち用のものも、ある。
舞妓が使用する「ぽっちり」を通す帯締めの幅は、一般には出回らない広さがある。

江戸時代後期に色街(いろまち)の芸者がお客や恋人の脇差の金具(鍔=つば)を帯紐に通したのがその始まりとされている。
現在残るごく初期の古い帯留には刀の飾り金具などを作り替えたものが残っている。
若い一般女性らの間でも普段着の装飾として流行したものだが、後に既婚女性にも広く用いられるようになった。

帯留は、そのなりたちからも判るように、元々は、和装のくだけた着こなしとしての装飾である。
そのため、婚礼や式典、葬儀など正式な場面での使用は厳禁で、マナーに外れ失礼とする考え方もある。
従って、花柳界では、第一礼装の黒紋付に、帯留の使用は厳禁である。

が、しかし、日本が欧風化していくに当たって、華やかな西洋の宝飾品に対抗できる和装品の一つとして、髪飾りとともに、宝石を使った帯留が、戦前から上流階級でもてはやされた。
特に、ダイヤ・ルビー・サファイヤ・エメラルド・真珠を使ったものは、紋付の色留袖・丸帯の礼装に合わせて、パーティーやレセプションなどで活躍した。

帯留として作られたものでなくとも、紐を通す部分があれば帯留として代用が可能である。
特に、洋装用のブローチなどを、帯留に転用することは、戦前から行われてきている。

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