火箸 (Hibashi chopstick)

火箸(ひばし)とは、日本の道具のひとつ。
多くは鉄で作られ、火鉢や火箱の炭を扱うことを目的とする。

かつて火鉢や囲炉裏が普及していた時代には、どこの家庭にもある一般的な道具だった。
2本の、先に行くにつれて細くなる鉄の棒で構成され、長さは25センチから40センチ程度。
炭を継ぎ足したり、熾っている火を調整したりするときに使用する。
後端は丸いもの、瓦釘のようになっているもの、割ったり巻いたりして輪をつけたものなど様々である。

火鉢の火を灰を被せて消した後、火箸を十文字に刺しておくという習慣があった。
一種の火伏せのまじないである。
家庭で炭火を扱うことが少なくなるにつれ、茶道の席などを除き次第にその姿を消していった。

しかし、何本かを吊るして風鈴にするという風流な用途があり、この目的で生き残っているのを見かけることができる。
戦国時代 (日本)から甲冑師として鉄の加工技術を守ってきた姫路市の明珍(みょうちん)家では、この材料に日本刀の材料である玉鋼を用い、さらに美しい音色のものを現在も製作している。
この音色は冨田勲の楽曲にサンプリングされたり、ソニーの音響機器の試験にも使用されている。

[English Translation]