菊酒 (Kikuzake (Japanese sake with chrysanthemum blooms))

菊酒とは重陽の節句(旧暦の九月九日)いわゆる「菊の節句」に飲む菊の花を浸した日本酒のこと。

花札の絵にキクと酒盃がセットで描かれているのは「菊酒」を表現したものである。
「桜に幔幕」の札とで「花見酒」、「月」の札とで「月見酒」と日本の行事にまつわる役を作る札。

菊と長寿

菊酒のルーツはおそらく、三世紀ごろには成立していた中国の伝説であろうと思われる。

魏 (三国)の武将鍾会は自作の詩の中で菊の美点を列挙し「菊酒は神仙の飲み物」と謳った。
また後世の民間伝承では、魏の初代皇帝曹丕は幼時は非常に虚弱で長生できないと思われていたが、菊酒を勧められて服用した後は強健となり長じて魏の皇帝となったという。

平安時代の貴族は重陽の節句に「菊の着綿」といって菊の花にかぶせた真綿で体をこすって健康を祈った。
その際天皇が臣下に菊を浸した酒を下賜し、体をいたわった。

ちなみに菊に薬効があるとして、現代の中国でも菊の花を乾燥させて茶葉に混ぜるなどした「菊茶」が飲まれる。
日本の菊酒の場合は普通生花を使う。

現在は日本の一部の料亭などで食用菊を浮かせた菊酒が客に供されることがある。

製法

江戸時代の資治通鑑には二種類の製造法が紹介されている。

一つ目は、菊の花びらを浸した水で仕込みをすると言うもので、有名な加賀の菊酒はこの製法で作る。

二つ目は、現在梅酒などを造る時の要領で、氷砂糖と一緒に寝かせた菊の花びらを焼酎に漬け込むもの。
眼病や婦人病に効果があると、江戸時代に広く薬酒として愛された。

そのほか、原料となる米に菊の花の香りを移すものなど、諸説ある。

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