重要無形文化財 (Important Intangible Cultural Property)

重要無形文化財(じゅうようむけいぶんかざい)とは、日本において、同国の文化財保護法に基づいて、同国の文部科学大臣によって指定された、無形文化財のこと。

概要
文化財保護法は、無形文化財を「演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの」としている。
そのうち重要なものを重要無形文化財として指定することができると規定している。
また、この指定により文化財の保存、記録の作成、伝承者の育成に対して、公費でその経費の一部を負担することができるとしている。

歴史
第二次世界大戦以前の日本には1890年制定の帝室技芸員制度はあったものの、近代的な無形文化財の保護・指定制度は存在しなかった。
1950年制定の文化財保護法によって初めて無形文化財が法的に位置づけられた。
しかし、同法制定当時の制度では「現状のまま放置し、国が保護しなければ衰亡のおそれのあるもの」を選定無形文化財として選定するという、消極的保護施策であった。
1954年の文化財保護法改正により、選定無形文化財の制度は廃止された。
「衰亡のおそれ」あるか否かではなく、あくまでも無形文化財としての価値に基づき、重要なものを「重要無形文化財」に指定するという制度に変わった。

文化財の指定、保持者・保持団体の認定
重要無形文化財の指定の対象は無形の「わざ」そのものである。
指定にあたっては、たとえば「人形浄瑠璃文楽」「能楽」のような芸能、「備前焼」「彫金」のような工芸技術といった無形の「わざ」を重要無形文化財に指定する。
その「わざ」を高度に体得している個人または個人の集団を保持者・保持団体として認定する。
(「指定」と「認定」の差異に注意)

認定に際しては、3種がある。
1.「わざ」を高度に体得している個人を個別に認定する「各個認定」。
2. 2人以上の者が一体となって「わざ」を体現している場合に、その団体の構成員全体を保持者に認定する「総合認定」。
3. 「わざ」の性格上個人的特色が薄く、かつ、多数の者が体得している「わざ」が全体として1つの無形文化財を構成している場合に、その人々が構成員となっている団体を認定する「保持団体認定」。

重要無形文化財保持者として各個認定された者を一般に人間国宝という。
「総合認定」の例としては、「雅楽」における宮内庁式部職楽部部員、「能楽」における社団法人日本能楽会会員などがある。
「保持団体認定」の例としては、輪島塗技術保存会、本場結城紬保存会、本美濃紙保存会などがある。

選択無形文化財

このほか、重要無形文化財には指定されていないが、国が記録保存等の措置をとるべき無形文化財については、「選択無形文化財」として選択(「指定」ではない)することができることになっている。

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