内侍司 (Naishi no tsukasa)

内侍司(ないしのつかさ)は、日本の日本の官制における役所の一つ。
令によって定められた後宮十二司の一つであり、女官のみによって構成される。

職掌

内侍司の女官は天皇に近侍し、奏請と伝宣、宮中の礼式等を司った。
天皇の秘書役とも言うべき重要な役職で、学問・礼法に通じた有能な女性が多く任命されたようである。

三種の神器のひとつ・八咫鏡を模した神鏡が温明殿(内侍所)に安置されており、この神鏡を守護捧持するのも内侍司の女官の役目である。
故に神鏡を「内侍所」とも呼ぶ。

地位

内侍司の女官は、令の規定ではさほどの地位を与えられていなかった。
しかし時代が下るにつれ職掌の重要性が増し、平城天皇の大同 (日本)2年(807年)には大幅に相当する位が引き上げられた。
薬子の変の遠因ともなった。

平安時代半ば以降、後宮十二司の組織が再編され、事実上内侍司が唯一の後宮官司となる。
また、長官の尚侍は皇妃に準ずる扱いを受けるようになり、また次官の典侍も天皇の侍妾としての性格を備えていることが多かった。

尚侍(ないしのかみ・しょうじ)

内侍司の長官。
従五位相当のち従三位相当。
定員は2名。
多く摂関家の娘が選任された。
元来、奏請・伝宣の職掌は尚侍のみのものであり、典侍以下が扱うことはできなかった。

後に皇妃に準ずる扱いとなり、実際の女官としての業務は典侍以下が担ったと思われる。
平安後期から鎌倉時代ごろには、尚侍は任命されなくなった。

典侍(ないしのすけ・てんじ)

次官。
従六位相当のち従四位相当。
定員は4名。
大・中納言を中心に公卿の娘が多く選ばれた。

掌侍(ないしのじょう・しょうじ)

三等官。
従七位相当のち従五位相当。
定員は正官4名、権官2名の計6名。
通常「内侍」と言えばこの掌侍を指す。

第一位上臈の掌侍を「勾当内侍(こうとうのないし)」または「長橋局(ながはしのつぼね)」と称する。
天皇に常侍し、尚侍が行う奏請や伝宣を担当し、内侍宣を蔵人に伝える役目を行う。
尚侍・典侍が形式化したのちは、内侍司の実務は奏請・伝宣を含め勾当内侍を中心に取り仕切られた。
江戸時代においては上臈とされる大典侍よりも対外的権力は上であった。

女嬬(にょじゅ・にょうじゅ)

内侍司の下級女官。
定員百名。
雑務一般にあたる。

[English Translation]